エージェント型リスクインテリジェンスプラットフォームとは?それが必要な理由

By Jen Snell

地政学的イベントや脅威が急速に進展する中で、人工知能もそれに劣らぬスピードで進化しています。政府機関や企業にとって、従来の脅威検出やスクリーニング用のツールからエージェント型AIプラットフォームに一足飛びに移行することは困難に思えるかもしれませんが、それを実行することは極めて重要です。
なぜなら、敵がそうしているからです。
国家レベルの敵対勢力、組織犯罪ネットワーク、さらには単独犯に至るまでが、AIを活用して行動を迅速化し、隠密性を高め、活動の規模を拡大しています。彼らは、偽情報キャンペーンを加速させ、合成IDを作り出し、サプライチェーンの弱点を探り、従来のリスク管理や調査アプローチでは太刀打ちできないほどのスピードと規模で影響工作を展開しています。その結果、政府機関や民間企業の双方で利用されている、サイロ化した人力による調査手法をはるかに凌ぐペースで、敵対的な行為が発生しています。
こうした事情は、国家安全保障分野やグローバル企業のインテリジェンス、セキュリティ、リスク、コンプライアンスの実務担当者や主任アナリストにとって既知の事実で、それに応じて脅威を発見・監視するためのツールが既に導入されているはずです。しかし、それらのツールでは不十分なのです。
このブログでは、調査プロセスで深刻な問題となる技術面の弱点と、それらを克服するのに役立つ新しいプラットフォームについて詳しく見ていきます。
インテリジェンスの取得を妨げる障害
現在のリスク検出環境には、調査の妨げとなる以下の3つの側面があります。
- 従来の脅威検出ツールのサイロ化
- 初期の生成AIの限界
- 調査の根拠となるデータのカオス状態
現在使用されている専門的な脅威検出ツールは、人や車両の不審な動き、スパイ活動を示唆する通信、ミサイル実験など、特定の状況に対応するものです。しかし、これらのツールがサイロ化しているために、データが断片化され、インサイトが曖昧になってしまう状況があまりにも多く見られます。その結果、最新の脅威の特定や隠れた脆弱性の発見に役立つ、極めて重要な「つながり」を見逃してしまうことがあります。
たとえば、天気予報から、モンスーンのためカシミール地方で洪水や土砂崩れが発生するという情報が得られ、状況認識レポートから、パキスタン北東部の国境沿いで部隊の動きが活発化しているという情報が得られたとします。しかし、この点と点をつなぐことができなければ、パキスタンが厳しい天候を隠れ蓑にしてカシミールに潜入する可能性があることに気づくことはできません。
企業にも同様の盲点が存在します。制裁担当デスクが、新たに指定されたエンティティにフラグを設定するとします。一方、調達チームは、重要なサプライヤーの所有権が秘かに変更されたことに気付くかもしれません。しかし、この2つの点を結ぶことができなければ、主要なベンダーが制裁対象者の支配下に入ったことが分からないまま、取引の決済まで進んでしまうのです。
初期の生成AIには、明らかに限界があります。
「リアクティブな」AI——現在、一部の政府機関で採用されているタイプのAI——は、多大な人的介入を必要とします。この介入のために、インサイトを取得するまでに長い時間がかかります。
リアクティブAIは、たとえば次のように動作します。ある調査員が、「ゾーンXのドローン映像を要約してください」というプロンプトを作成します。AIは、以前は未開発だった土地に、今や人々が次々と押し寄せているという要約を出力します。アナリストは、もっと詳しく知りたいと考え、新たなクエリを作成します。システムから、この敷地で大規模な建設プロジェクトが開始されたことを示す情報が返されます。アナリストは、規制対象物質(放射性物質、麻薬前駆物質、爆発物前駆物質)が搬入される可能性を懸念し、AIシステムにさらに質問を投げかけます。このように、インサイトを得るためには、人間が順を追って質問を起こしていく必要があります。リアクティブAIシステムの働きは本質的には、スマートチャットボットと同じです。金融犯罪やデューデリジェンス関連の実務担当者が、ネガティブな報道の調査、所有権に関する照会、制裁対象の確認などを行うたびに手作業でプロンプトを作成しなければならないとすれば、同じような問題に直面します。こうして毎回深みにはまっていき、未解決の案件が何十件も積み上がってしまうのです。
文脈から切り離されたカオス状態のデータは、従来のソフトウェアツールや初期のAIシステムではとても扱えません。このようなデータからは、曖昧なインテリジェンスしか得られません。
AIが検索する公開情報(PAI)は、何千もの情報源や何百もの言語によって断片化しています。ソーシャルメディアプラットフォームや配送情報、市販のデータセットやダークウェブ、車両のテレメトリデータや基地局の位置情報などがそうです。PAIは、データポイント間の関連性がほとんどないか、まったくない状態で作成・保存されるからです。そのため防衛機関や諜報機関は、検証済みのインテリジェンスとは程遠い、曖昧なデータしか入手できません。
解決策:世界最高水準のデータを基盤とするエージェント型AIプラットフォーム
政府機関、防衛組織、金融機関、重要インフラの運用主体がより深いインサイトをできるだけ迅速に取得するには、脅威検出ツールやインテリジェントチャットボットから脱却し、Data Dominanceを基盤としたエージェント型AIリスクプラットフォームに移行する必要があります。
エージェント型AIとは何か?それは、人間による絶え間ない介入や指示を必要とせず、複雑で多段階のタスクを自ら計画・実行できる人工知能です。それでは、ドローン映像のシナリオに戻りましょう。既存のAIを利用する場合、アナリストはシステムに「ゾーンXのドローン画像を要約してください」と依頼します。一方、エージェント型リスクインテリジェンスプラットフォームを利用する場合、アナリストはシステムに「ゾーンXの状況認識を維持せよ」と指示するだけです。最も優れたプラットフォームであれば、データ(映像、信号、現場報告など)を継続的に取り込んで精査し、相互に関連付け、文脈に合わせて整理することまで可能で、状況の変化に応じてアナリストに最新情報を提供するとともに、インサイトを運用ワークフローに組み込んで、ミッション実現のための各種目標に沿ってアラートの優先順位を決定します。
このようなプラットフォームは、グローバルな外部事象、アイデンティティ、サプライヤー/ベンダーという3つの主要なリスク領域において、特に大きな価値を発揮します。これらの領域を総合的にカバーすることで、人、組織、地域、サプライチェーン全体にわたって、今何が起きているのか、誰が関与しているのか、どこにリスクが存在するのかを理解することができます。
- グローバルおよびイベントリスクインテリジェンスは、グローバルなデジタル環境において新たに発生する脅威を、それが物理的なリスクや運用、評判、セキュリティ上のリスクにエスカレートする前に検出するのに役立ちます。こうした脅威には、地政学的不安定性、地域紛争、要人や施設に対する脅威、サイバー活動、世論の動向、イベントリスク、暴力や混乱の新たな兆候などが含まれます。
- アイデンティティリスクインテリジェンスは、人に関連する隠れたリスクを発見し、個人が開示する情報だけでは分からない、非公開の所属関係、ネガティブな報道、制裁対象となる可能性、誠実性に関する懸念を浮き彫りにするのに役立ちます。ある人物を信頼してアクセス権限を与えるかどうか審査する場合でも、顧客のオンボーディング時にスクリーニングを行う場合でも、アイデンティティ関連のあらゆるシナリオにおいて、いくつもの言語と情報源からデータを統合して、1つの説明可能な全体像を構築します。
- ベンダーリスクインテリジェンスは、ベンダー、サプライヤー、サードパーティ、取引先について、所有権、業務、制裁、外国からの影響、サイバー、およびサプライチェーンに関するリスクを継続的に監視するのに役立ちます。相手がFOCI審査を通過した請負業者であれ、グローバル企業内の重要サプライヤーであれ、このような監視は政府のミッション、金融システム、国家インフラ、企業の事業継続性を保護する上で不可欠です。
これら3つの領域すべてにおいて、エージェント型AIプラットフォームは、アナリストが断片的なアラートや手作業による調査の限界を超えて業務を進める助けになります。これらのプラットフォームは、多言語データを取り込んで関連付け、エンティティを解決してネットワークをマッピングし、異常を明示し、リスクに優先順位を付け、総合的で一貫性のあるインテリジェンスを短時間で出力するので、ユーザーは十分な余裕を持ってリスクに対処できます。
Babel Streetが選ばれる理由
Babel Streetは10年以上にわたり、軍事、防衛、諜報分野の組織に対して、世界最高水準のデータに基づくAIおよびオープンソースインテリジェンス(OSINT)サービスを提供してきました。その経験と専門知識が結実したのが、Babel Streetエージェント型リスクインテリジェンスプラットフォームです。脅威検出の新たな基準を打ち立てるこのプラットフォームによって、地政学的リスクに加えて、内部脅威やサプライチェーンの脆弱性に関する包括的かつ最新のインサイトを取得できるため、政府機関や企業はたとえ千変万化の脅威が相手でも、そのさらに上を行くことができます。
このプラットフォームはAIネイティブな運用フレームワークで、ガバナンスの効いたAIエージェントが、意思決定にそのまま使える構造化されたインテリジェンスの発見、統合、配信に必要なタスクを実行します。そして、そのあらゆる段階で、人間が最終的な決定権を持ちます。
当プラットフォームの主な機能は次のとおりです:
卓越したインテリジェンスノウハウ — 当プラットフォームのAIエージェントが持つ調査機能は、実務の専門家によって開発された現実の手法や実績のあるワークフローをモデルにしています。Babel Streetなら、調査員やアナリストが、調査の目的、進め方、範囲、成果について決定権を持つことができます。
Data Dominance™ — Babel Streetのプラットフォームは、権利処理済みかつ特定のミッションに合わせて厳選された多言語データのパイプラインに支えられています。これには、他社がアクセスすることも模倣することもできないようなテキストデータと画像データが含まれています。データは、200以上の言語で公開されている情報から収集されます。当社のエンティティ抽出機能によって、データは取り込み時に構造化されます。これによって検索精度が向上し、より一貫性の高い、証拠に基づく分析が可能になります。
エージェントによる実行 — Babel Streetが提供するのは、クエリに回答を返すだけのチャットボットのような機能ではなく、インテリジェンス向けにトレーニングされたエージェント群が連携して動作するシステムです。このシステムによって、やりたいことを一度伝えれば、情報の発見、統合、検証、レポートが調整され、完成度の高い多段階の調査が機械によって高速で実行されます。
ガバナンス、信頼、透明性 — ブラックボックス型のAIシステムとは異なり、Babel Streetは、内部の調査計画、クエリロジック、推論を明示することができます。調査したデータを引用したり、データの出所情報を示したりすることもできます。これは、規制当局、経営陣、ステークホルダーの要求を満たす監査証跡やその他のトレーサビリティ(追跡可能性)機能を備えている、ということです。
結論はこうです。Babel Streetのエージェント型リスクインテリジェンスプラットフォームを導入すれば、ミッション担当者やリスク管理責任者は、不確実な地政学的状況や急速に変化するリスク環境においても、より安全な世界を築くために必要な、迅速で、十分な情報に基づく、説得力のある意思決定を行うことができます。
免責事項
本書に記載されている名称、企業、および事件はすべて架空のものです。実在の人物(生死を問わない)、場所、会社、製品と同一とみなすことは意図されておらず、そのように推測されるべきでもありません。


