Refinitiv(リフィニティブ)、世界の大企業が直面する金融犯罪・規制・レピュテーションの潜在リスクの特定を Babel Streetのインテリジェントなアルゴリズムで向上
多くの金融機関や規制対象企業が、各国の金融規制に準拠するために、Refinitiv World-Check One (リフィニティブ・ワールドチェック・ワン) を利用しています。信頼できるソースからの的確な情報や、名称照合スクリーニング機能を提供することで、リスクを評価し意思決定を支援します。氏名検索は、PEP (Politically Exposed Person: 公的要人) や制裁対象機関の特定や、AML (Anti-Money Laundering: マネーロンダリング対策) リスクの検出など、KYC (Know Your Customer: 顧客の本人確認) の重要な要素です。人名や組織名の照合が独自の分野であることを理解した上で、Refinitiv World-Check One では、刻々と変化する規制要件に柔軟に対応し、精度を高めてくれる専門家を求めていました。
Refinitiv (ロンドン証券取引所グループ) の Customer & Third Party Risk Solutions グループ長である Phil Cotter 氏は次のように述べています。「誤検出、さらには検出漏れが発生するたびに、お客様の問題が増大します。そのため、Refinitiv では Rosette の導入を決めました。そのグローバルな言語対応と、高い正確性により、お客様が Refinitiv World-Check One のデータを最大限活用できるようになったと強く感じています。」
Refinitiv World-Check One が Babel Street と提携した時点で、 Rosette® の名称照合技術は、大規模な e-コマースサイト、公共性の高い政府情報機関や国境警備など、ミッションクリティカルなアプリケーションで活用されていました。
BABEL STREET の ROSETTE によるインテリジェントな照合
Refinitiv World-Check One が Babel Street を選択したのは、単純な検索ツールとは異なり、Rosette には、氏名に特化した何層もの知識がそのアルゴリズムに組み込まれているからです。Rosette の知識には、20 を超える言語の一般的なニックネームに加え、各言語における音韻学に基づいた検索手法も含まれています。Rosette は、人間のように、氏名の順序が間違っているものや短縮された名前などを認識できるのです。さらに、Rosette は、John が一般的な名前で Dweezil が珍しい名前であることも認識します。こうした氏名に関するインテリジェンスが名称照合スコアリングアルゴリズムに組み込まれています。Rosette のアルゴリズムは人間のように思考するだけでなく、一貫性があり、判定根拠を説明できるため、人間よりも優れています。
*7,571 の人名が含まれており、1 つの人名につき 10 以上の異なる綴りが含まれているデータセットを使用して、
市販されている一般的なシステムと比較して Rosette をテストした結果
OFAC で使用されるような単純な照合では、2つの名称間で異なっている文字数 (編集距離とも呼ばれる) を調べます。他の手法では、できる限り多くの異なる綴りのリストを作成 (総当たり方式とも呼ばれる) したり、複雑なブール照会を利用したりしますが、それでもうまく照合できないことがあります。Rosette は、実用的かつ透過的に、さまざまなインテリジェントな機械学習モデル (隠れマルコフモデル、ディープラーニング) を他の手法 (音韻学、ルール、辞書、索引付け、調整パラメータ) とうまく組み合わせて利用しています。
Rosette は、人名と組織名で異なるエンティティ検索手法を用いています。例えば、「Tony Charles Johnson」という名前の人物を Rosette で検索した場合、「Charles Johnson and Associates」(組織名) ではなく「Anthony C. Johnson」(人名) が返されます。
また、複数の要素から成るアラビア人の名前は、英語では何千通りもの綴りになる可能性がありますが、Rosette は、音訳された名前を元の単一のアラビア文字の綴りに戻すことができます。これにより、照会された名前をより正確に照合することが可能になります。
*アラビア語から英語への音訳の曖昧性のため、
このアラビア人男性の姓名だけで、英語で何百もの綴り方があります
将来のための信頼
Refinitiv World-Check One は、顧客の KYC やデューデリジェンスのスクリーニングのニーズをサポート、簡素化、迅速化できるように設計されたスクリーニングプラットフォームです。世界をリードするリスクインテリジェンスデータを利用しているこのプラットフォームでは、毎月平均 50,000 件のレコードをデータベースに追加し、世界中の 10,000 社を超える顧客に正確で信頼できる情報を提供しています。
Babel Street は、ディープラーニングやテキスト埋め込みなど、自然言語処理の新たな知見に基づく新しいアルゴリズムを Rosette へ継続的に導入しています。新しい問題や特殊なケースごとに最適なアプローチを選択し、協調的に動作する一連のアルゴリズムが形成されるよう多面的なアプローチを採っています。
その結果、Rosette により、人間には困難で手間のかかる主観的なタスクが半自動化されます。Refinitiv World-Check One プラットフォームにおいては、Rosette がインテリジェントな照合を提供しています。デューデリジェンスおよび KYC のスクリーニングの重要なステージにおいて、正確で一貫性があり、監査可能な照合機能を実現します。
スポットライト: 単純検索ではなぜ十分でないのか?
多面的な名称検索により、複雑なタスクの半自動化を実現
単純検索が危険なのは、多数の誤検出を返すことがあるのにもかかわらず、検出漏れが生じ、規制当局から罰則を受けてしまう点にあります。多面的な名称検索により、誤検出と検出漏れを同時に削減することができます。以下にその仕組みについて説明します。
OFAC の単純検索は、「一致している可能性がある」ことを示すに過ぎません。対照的にRosette では、それぞれの一致確信度を数値としてスコア化します。例えば、一致スコアのしきい値を80%と設定することで、80%以上を調査の対象とし、80%未満の一致は調査対象外とすることができます。Rosette を利用すれば、従来は非常に手作業の多かった名称照合タスクを自動化または半自動化できます。
元来、名称照合は、カラーボールの色分けというより、インターネットの検索結果を調べるようなものです。「Hudson」を検索した場合、何を検索しているのでしょうか? 検索しているのは、「Hudson, MA」(マサチューセッツ州ハドソン)、「Hudson River」(ハドソン川)、「Hudson Institute」(ハドソン研究所)、それとも「Hudson Mitchell」(ハドソン・ミッチェル) でしょうか? さらに、名称に関わる誤記や表記ゆれの種類は、スペルチェックを実行する場合とは異なるため、名称固有の処理が必要になります。「Hudson」と「Hudsno」を比較して判別できるだけでなく、「Ghaleb Fahmi Fayez Abusalameh」と「ابوالمكارم سميح ابو المكارم عبدالخالق」、「D W P R W Mudiyanse Ralahamilage Gihan」と「Divakara W P R W M R Gihan Dhananjaya G」を比較して判別する必要があるのです。
金融コンプライアンスのスクリーニングでは、微妙な差異を認識した情報や管理が、風評リスクの低減や効率性の向上に貢献します。単純検索でこれらを満たすことはできません。
Refinitiv World-Check One がどのように金融犯罪からビジネスを守り、KYC デューデリジェンスのスクリーニングを簡素化・効率化し、リスクを低減することができるのか、詳しくはこちらをご覧ください。Refinitiv World-Check One のスクリーニングを支えている AI エンジン Rosette Name Indexer (多言語名称照合) について詳しくは、こちらをご覧ください。